先週末に行われたGen.G vs T1戦は3-2でGen.G勝利

先週末は20日にKT vs HLE戦が3-0でHLE勝利、そして21日にGen.G vs T1戦が3-2でGen.G勝利という結果となった。HLEはRound2でGen.Gを倒したKTに対して3-0で圧倒的勝利を示して仕上がりの順調さを示していた。他方Gen.Gは因縁の対決とも言えるT1戦、4ゲーム目を除きどのゲームも比較的接戦だったように思う。このフィジカル・メンタル・マクロ意識全てにおいて高水準のこの2チームが当たる場合は他のどの試合よりも構成差、つまりバンピックにおける駆け引きが勝敗における比重が高くなっているようにも感じる。後ほど、この辺りは少し触れて見たいと思う。

いずれにせよLCK2025の覇者はこの週末27日・28日で確定する。いずれも日本時間14時スタートだ。27日にまずKT vs Gen.G戦。前述のようにRound2で一度負けているGen.Gがリベンジを果たすのか、再度KTが引導を渡すのか、注目要素はあるものの、恐らくここは地力でいうとGen.Gが勝ちぬく可能性がとても高いのではないだろうか。28日の決勝はHLE vs Gen.Gになるのではないかと個人的には感じている。LCKは個人的にこの2チームとT1、併せて3チームが頭一つ抜けている印象を持っているので、この場にT1が居ないのが残念ではあるがWorldsでのリベンジを期待しつつ、週末を楽しみにしたい。

Gen.G vs T1戦のバンピックと結果を振り返る

この日のT1は仕上がりは悪くなく見えた。2-1と勝ち抜けに向けて先にリーチをしたのもT1だったのだが4ゲーム目、上図の構成でボロ負けしてしまう。正直、スポーツに勝ち負けはつきものであり時の運でもあるのだが、どうしてもこの4ゲーム目の構成と展開については悔いが残る部分もあるゲームだった。

なによりも、バンピックが終わった時点で「このマッチアップ嫌だな」と強く感じたのを覚えている。まだまだ未熟なセラーノなのでその「嫌さ」を上手く言語化するのが難しいのだが、拙くも、嫌だと感じたポイントを書き残して試合経過とともに振り返って学びにできれば、と思った次第。

【タンク枚数に大きな差】

⇒Gen.G側にゴツめのタンクが3枚、対してT1側はノータンク。後半戦5v5のロングトレードは厳しそうな予感。

【カシオペアに行動阻害がメチャクチャ刺さりそう】

⇒ブリンクからの接敵からインファイトを狙いたいサイラス&レクサイに対してカシオペアのミアズマとRは大きなハードル。

【ピックアップ勝負やポーク勝負においてはブリッツが刺さってる?】

⇒タンクが薄くドッシリ5v5が嫌な構成なので道中のピックアップで数的有利を作るか、ヴァルスのロングレンジでポークで削って有利を作る、が残された選択肢なのだがいずれにおいてもブリッツが邪魔。しかもカリスタRがあるとSUPのフェイスチェックの保険という意味でもエンゲージ&フックという意味でもGen.G側に一枚余裕が生まれる。

上記、3要素辺りが個人的に嫌&難しそうと感じたポイントだろうか。
パッと構成を見た時、T1側はTFのRを絡めたキャッチ&バーストで敵(特にキャリー陣:カシオペアやカリスタ)を一気に落として優位を作る、というのが狙いだと思うのだがカシオペアのミアズマ&R、カリスタのRなどバースト回避から反転の基点を作れるスキルがGen.G側には揃っているように感じた。勿論、タンク陣もCCやバリア付与を豊富に持っているので時間をかけたロングトレードはT1はしたくないところだと思うので、T1側は「勝てるポイントでしっかりキルを取ってスノーボールしきる」必要があり、且つ「敵をバーストで落とせないDPS不足に一度陥ったら、タンク3枚とCCを考えるとジリ貧になる」という、とても制約が多い、難しい構成になってしまったようにこの時点で感じた。

実際のところ、どうなったのか試合展開を追ってみたいと思う。

4分19秒経過時点、T1のTOPレーンでTOPのレクサイ一人に対してGen.G側のADC・SUP・JGによるタワーダイブが成功し1ファーストブラッド。

他方、T1側はBOTレーンへ同じく3人vs1人のダイブ。これも成功しキルカウントは1-1へ。画像を見ても分かるがほぼ全く同じタイミングでタワーダイブが発生しており、この時点ではまだまだイーブンといった感じ。

最初に大きく流れを変えたのは8分26秒、ヴォイドグラブ争奪戦のこのシーン。Gen.G側はカリスタがTOP側に少し離れていたためFakerがTFのRでリバー近辺でカシオペア・ブリッツ・スカーナーの3人に対してエンゲージ。それに被せる形でヴァルスのRも飛んでいます。局地的で短い時間ではあるものの4v3の状況となっており、ここでしっかり1キル以上落とせていれば仮にカリスタが合流しても数的優位となり、またダメージソースは基本的にカシオペアとカリスタに寄っている構成のため、ここで仮にカシオペアを落とせていたら集団戦は完全に優位となる流れ。

しかし、結果はキルカウント0-3の完全な敗北トレードに。敗因はカシオペアのミアズマとRによる石化という圧倒的なディスエンゲージ能力の高さによるもの。TFの飛び込みに対して冷静にミアズマとRを吐いたChovyのカシオペアのファインプレーによってヴァルスを除く3人は各個撃破されていきます。これは、構成を考えるとどこかで数的優位を作り出して能動的に仕掛けるしかないT1サイドからすると場所的にもオブジェクトタイミングとしても悪くない仕掛けだったと思うのですが、やはり構成差というか、ラストピックで引かれたカシオペアが完全に機能してしまった、という悔しい展開。

後半、タンク3枚相手にがっぷり四つで戦う展開は避けたいT1としては、先ほどの3キルで生まれたゴールド差はそのまま焦りに繋がります。レクサイ、サイラス、TFはいずれも腐ると存在意義がかなり下がってしまうチャンプ(CCもタンク性能も低い)であり、またTFはそもそもユーティリティ型チャンプなので大勢が決してしまった場合、状況をひっくり返す基点となるようなチャンプではありません。」何とかこの序中盤で五分の流れに挽回したいT1は普段しないミスを連発していきます。

上の画像はSUPのKeria」ブリッツのフックで落とされたシーン。Keria選手は非常に視野が広く、敵のスキル管理も徹底できる選手の為、これだけ綺麗に引っ張られて簡単にデスさせられる場面は珍しいのですが、先ほどの0-3トレードを引きずって精彩を欠いているように見えます。

序中盤で入るべきキルがキャリー陣にしっかり入ったGen.Gはこうなるともうつけ入る隙がありません。もともと、タンクが多い構成は試合の流れが五分以上になると、不確定要素、突発的なデスによるゴールド差の巻き返しやオブジェクト奪取といった事故が非常に発生しづらい構成です。続く3ドラ、アタカン、そしてバロンとほぼ全てのオブジェクトをGen.G側が抑え、しかもキルカウント24-6と圧倒的な大差でこの4ゲーム目を決める展開となりました。

5ゲーム目、T1側も気持ちを切り替えて4ゲーム目よりは個人的に良い構成と思われる構成で挑むものの、、、

結果としては上図の時点でキルカウント21-5、オブジェクトもほぼGen.G側が抑える形で敗北を喫しました。5ゲーム目の敗因は4ゲーム目とほぼ同じくこの人

MIDのChovy選手がラストピックしたヴェックスがパッシブを絡めたCCやRによる追撃&確殺などでKDAスコア9/0/7と大活躍。T1のMID、Faker選手のヨネも強いチャンプではあるのですがヴェックスの様な敵を迎え撃つタイプのメイジが居るとその強みを発揮することができないまま、存在感を薄められてしまっていたように思います。

前半優位を取って2-1まで持って行ったT1に対して、2ゲーム連続でレッドサイドからラストピックをMIDに寄せて、しっかりとカウンターピックを2ゲームともChovy選手に託し、それを機能させ切ったGen.GがこのLCKプレイオフという場面では完全に勝ち切った、と言えると思います。T1ファンの自分ではありますが、このGen.Gの采配と、期待に応えきったChovy選手には熱いモノを感じます。

まだまだ今週末のLCK最終版には目が離せませんが、一方で、これだけ綺麗に負けてしまったGen.G相手にWorlds1二連覇中のT1が来るWorldsの場で如何に挽回していくか、という観点からも非常に気がかりです。でも、楽しみでもあります。LCKには好きなプレイヤー&チームが沢山ある私ですが、やはりT1は特別なチーム。是非10月からのWorldsでも輝いて欲しいと思っています。