GAME1 ~ GAME3 はALが先行して2-1で進展

T1ファンとしてはこのノックアウトステージ初戦で最も注目していたこの1戦。ALはスイスステージ3-0でトップ通過しておりWorldsでも尻上がりに調子を上げて来ていたこともありLPL代表の中で最も強い相手、という認識。そして試合を見ているうちにその認識が間違いなかったことを再確認しました。

最近見た試合の中ではズバ抜けて興奮した、素晴らしい試合だったため、記事よりも何よりも、できれば以下の公式チャンネルから試合を見て欲しい気持ちで一杯です。特に時間が無い方はラストGAMEだけでも是非、ゆっくり見て欲しい、そんな素晴らしい、熱い試合でした。

この試合は最終的にフルセットまでもつれ込みますが後半の2GAME、特に最後の5GAME目があまりに印象的なGAMEだったため、序盤の3GAMEを少し端折って振り返りたいと思います。

GAME1

GAME1のバンピックはブルーサイドALがキヤナ1stピックで始まりT1側のSUPラカンのラストピックで締めます。構成としてはAL側が割とメタチャンプ基軸のオーソドックスな構成なのに対してT1側がTOPサイオンやJGパンテオンなど、ややポケットピックっぽい構成。ダメージ担当はADCのヴァルスを軸にタリヤ~パンテオンが担う形です。

試合の流れは序盤からかなりT1ペースで進み28分時点で4ドラ獲得と共にACEを獲得した時点でほぼ大勢が決しました。見ていた感触としてMIDのFaker選手が非常にアグレッシブにリフト全体をカバーしており「タリヤはこう使うんだ」と言わんばかりの活躍。キルカウントはヴァルスとパンテオンに多く付いていますがFaker選手の存在感がひと際目立つGAMEだったように思います。

GAME2

GAME2はブルーサイドALの1stピックSUPポッピーから始まりT1がSUPノーチを返し、ラストピックにMIDアニヴィアをピックしてバンピックを終えます。ウーコン対シンジャオの対決もこのWorldsでは大分見慣れましたね。Fakerが国際戦でアニヴィアを使うのはやや珍しい印象です。

そして結果は上図のような感じ。キルこそADCのシヴィアに多く入っていますが、試合で主導権を作り出していたのはやはりJG-MIDラインのウーコン&ガリオ、そして機動力の高いアンベッサだったように感じています。

ALのTarzan選手のようなハンドスキルが非常に高い、フィジカルに長けたプレイヤーがウーコンを使うとそれだけで大きな圧力を生み出しますが、それを更にShanks選手の堅実なガリオで後押ししつつ、Kael選手のポッピーもT1側のシンジャオの飛び込を牽制するなどしっかり仕事をしていました。T1側はドレイブンとアニヴィアだと少し攻撃レンジが足りないようにも感じました。バンされていましたがアジールか、バンされていませんでしたがビクター辺りだとまた違った展開が見れたかもしれない、そんなGAME2でした。

GAME3

GAME3のバンピックは上図のような感じ。ブルーサイドのT1が1stピックにカサンテをピックし、対するALがTOPにオーロラを返し、ラストピックにMIDヨネで締める形でバンピックを終えます。

バンピックを見ても分かるようにAL側は明確なフロントが居ない、JGのジャーヴァンがやや硬い程度の構成、対してT1側はカサンテにブリッツ、さらにはヴァイもいて、フロントを挟んでゆっくりダメージトレードしたらT1側の方が強そうな構成です。ただAL側もヨネR、オーロラR、ジャーヴァンRといったアルティメットスキルが非常に強いチャンプが多く、バーストでT1のキャリー陣を落とされてしまうとT1側が負けてしまう展開に陥ると思われます。

GAME3はキル差、ゴールド差は大きく付くことなく、ドラゴンをALがしっかり押さえつつ進展する展開となります。集団戦の優劣は、いずれのチームもそれぞれの構成の強みを生かしつつ、スキルマッチアップ、つまり上手く立ち回った方が勝つ、的な展開で30分位まで進みます。

が、上図の35分位になってくるとヨネに3つコアアイテムが入り、一気にAL側の戦闘力が上がります。そうなると集団戦では総ダメージ量の差が顕著になり結果、GAME3はALが制します。

個人的にはこういうノータンク構成、TOPにレンジチャンプやメイジが配置される構成はT1にしっかりと咎めて欲しかったところですが、まだまだTOPオーロラがしっかり機能するメタ、ということを再認識してしまったGAMEでもありました。残念。

GAME4 ゲームカウント1-2となりT1にとっては正念場

もう1ゲームも落とせない、T1にとって崖っぷちのGAME4のバンピックは上図のような形。ブルーサイドのT1が1stピックにSUPニーコを選ぶと対するALはJGスカーナーからコーキをピック。その後T1はADCとJGを共に後出ししつつ、MIDもALの先出しルブランに対してビクターを当てる形で全体的に後出し基軸でバンピックを進めます。ラストピックはAL側のTOPモルデカイザー。なんとなくモルデを見るとソロQを連想してしまう自分が居ます。

T1はカイサに順調にキルが入るもAL側もルブランが育ち気が抜けない展開

GAME4のT1は非常に落ち着いて試合を進めているように見えました。序盤ルブランに2キル入ってキャリー陣への圧力が上がり立ち回りが難しくなるのでは、と懸念したものの、しっかりとGumayusi選手のカイサにキルを集めていきます。またFaker選手のビクターもキルカウントこそ目立たないものの、しっかりとファームを進めておりルブランとのレベル差がこの22分時点で2つあり、集団戦は余程綺麗なアサシンが決まらない限りはT1に分がありそうな展開に見えます。

ADCの安定感という意味ではT1のGumayusi選手がALのHope選手を圧倒

GAME4はそのまま35分にT1がバロンを押さえてそのままゲームENDまで持ち込みます。途中、集団戦でモルデカイザーやスカーナーがルブランと共に奮闘するシーンも目立ちましたが、T1側の綺麗な構成で、且つ、しっかりとADCにキルが入って仕事が出来ている点で明確に優位性を示しました。

上図の時点の各プレイヤーのキルカウントを見てもALのADC、Hope選手のコーキに仕事をさせていないのが大きかったとも思います。特に今日の1戦はGumayusi選手は非常に集中力が高く、負けた試合も含め、非常にパフォーマンスが高いように見えました。他方、Hope選手はキルが入り乗っている時の爆発力は凄まじいものがありますが、こうした劣勢に立たされた時のパフォーマンス、できることを粛々とこなす安定感、といったものはT1のGumayusi選手より1段劣る、そんな印象を受けたGAME4となりました。

GAME5 舞台は最高潮。テレーレも流れつつ緊張の最終GAME

Worlds連覇中のT1がベスト8で消えてしまうかどうか、本当にこのGAMEで決まってしまうという意味で会場は凄まじい盛り上がりを見せていました。(中国開催でもT1ファンも相当数現地に居るんですね。)そんな異様な空気の中で進んだGAME5のバンピックは上図のような流れ。

ブルーサイドのALが1stピックにADCとしてジンクスを選択。返すT1がTOPレネクトンとなんとJGにムンドを当てるとAL側はJGセジュアニとSUPにルルを返します。ジンクスは後半、射程がロケットで非常に長いチャンプなのでT1側のADCに何を出すのか、少し難しい展開です。

特筆すべき点としては、最初のバンフェーズでオリアナがバンされており5GAMEともオリアナ出ず、という展開だったこととAL側がFaker選手のアジールとGumayusi選手のケイトリン&ミスフォーチュンを警戒してバンしていたことです。これまでのゲームで既に手の長いジグスやヴァルスは使われてしまっているので「何を出すんだ?後半のスケールも考慮するとアフェリオス辺り?」と思って見ていたところ、T1はここでアッシュを選択。そしてSUPにはアッシュと相性の良いセラフィーンをラストピックに選択してバンピックを終えます。

確かにアッシュはこのパッチでとても強いチャンプの一人ではあるのですが、ジンクス相手だとどうしても後半のダメージ量と射程差で苦しいイメージがあったので、少し意外なピックでした。ソロQではシンドラ、エイトロックス、そしてジンクス辺りが相手に居る時のアッシュは必ず後半轢き殺されてしまうからです。。。(恐らく共感頂ける方は多いのではないかと思います。が、このGAMEを見てアッシュのポテンシャルについて、見方が変わりました。)

最序盤はセジュアニのまさかのBOTガンクでジンクスにキルが入る展開

バンピックでも書いたように、ジンクスのスケール前に少しでもアッシュでレーンの有利を盤石なものにしたいT1サイド。そこにBOTサイドでスタートしてTOP側にファームをしていたAL側のJGセジュアニがまさかの遠回りからのBOTガンクを試みます。これによってジンクスに1キルが入りセラフィーンも1キル回収して1-1トレードにこそなりますが、ジンクスにゴールドが入ったという意味では少し嫌な展開。

ADC+SUP+JGの3対3は前半においてはT1側有利に展開

その後もジンクスを手厚くカバーすることを想定してT1側のJG、Oner選手のムンドもしっかりBOTのカバーに入ります。結果として3対3の構図も何度か見られますが、序盤の時間帯だとアッシュとセラフィーンのスロー&スネアがやはり強力でしっかりとレーン戦の優位を築きます。

また、ここでは画像は入れませんが、Faker選手のMIDメルも後出しされたシンドラはカウンターでやや厳しいはずなのですが、しっかりと同水準でファームを進行しており安定した展開を見せます。結果として全体のゴールド差はT1が若干リード、オブジェクトもドラゴンとヴォイドを押さえて良い流れです。

順調のヘクステックソウルを押さえるも、、、ゴールド差逆転で不穏な展開

その後も順調のドラゴンを押さえていき、23分に4つ目のヘクステックドラゴンを倒してソウルを獲得します。しかし、そのドラゴンファイト後の疲弊したところをALに襲われリバー沿いに上図のところまでチェイスされる展開に。この後Faker選手のメルも落とされ、キルトレード0-3となり、さらにMIDタワーも居られる形でゴールド面ではALに抜かれてしまいます。

ヘクステックソウルを獲得しているため十分ワース、とも言えそうな展開ではあるのですが、もともとAL側には後半非常に強いシンドラ、ジンクス、エイトロックスといったレイトキャリーチャンプが多いため、ゴールドが入り装備が整うと戦闘が成り立たなくなる可能性があります。

バロン前の視界確保を争う流れからJGとMIDが落ちたT1。非常に厳しい場面

上の画像の少し前にバロン前の視界取り合戦でT1のJGムンドがALのシンドラのRを絡めたコンボで落とされています。その後、カバーに入ったFaker選手のメルも同様にCCを絡めて落とされてしまい、この時点でT1側3人対AL5人。バロンを守ることは不可能に見える展開となってしまいます。

ここでT1側はまさかのバロン妨害に出ます。AL側は5対3なので反転してACEにしてから再開すればよいとばかりに二手に分かれてT1陣営の殲滅に向けて反転します。青丸の部分はレネクトン対シンドラ&ジンクス&ルル、赤丸の部分はアッシュ&セラフィーン対セジュアニ&エイトロックスです。

LOLをやっている人ならわかると思いますが、特に赤丸の部分、エイトロックスとセジュアニに対してレベルも劣後しているBOTの二人組で立ち向かうのは自殺行為に等しいです。止めてくれるフロントも居ないわけですので。。。

それを、Gumayusi選手のアッシュは先ずはJGのセジュアニを(SUPのセラフィーンの犠牲の下ではありますが)この画像の後先ずは1キル。左上ではレネクトンが憤死しながらも3人にかなりのダメージを叩きこんでバロン継続を難しくしています。とはいえ、ヘルスが7割残ったエイトロックスがアッシュの目の前に居ますので、レネクトンもこの後落ちるため、このままだとバロンは本来であれば失ってしまう展開。

そこを完璧な引き打ちをすることであわやエイトロックスも倒せそうなヘルスへ。さらにはWがかすっただけでも左上のルルは落ちてしまいそうな状況ですので近づけません。この画像の直後、アッシュは敢え無く倒されてはしまうのですがヘルスと時間を大きく削られたAL陣営は5対3という絶好の場面からのバロン獲得をあきらめることになります。

そして恐らく最後の集団戦となるエルダードラゴンファイトへ

GAME5も佳境に入り、30分経過時点でエルダードラゴンファイトの視界取り合戦へ。T1側はドラゴンソウルやアタカンこそしっかり押さえているものの、ゴールド差が約5Kあり、しかもAL側の主要なキャリー陣であるシンドラとジンクスにキルが入っている状況のため、かなり際どい展開と言えます。

※戦闘もさることながら、是非実際の動画で見て頂きたい点として、上図の位置に陣営を構える前でのT1側のコントロールワードの数と置き方、ドラゴンピットに入るまでの一連の動きが凄まじく的確で、コントロールワードが立つ音がカンカンカン、っと何度も響いていました。プロシーンならではのオブジェクトの制圧シーンを是非、動画で見て頂きたいです。

ファイトの開幕は一瞬。視界優位からアッシュのアローでTOPエイトロックスをキル

上図はチームAL側の視点です。視界を取られているためピット内部が見えないALはBOT側に4人を寄せて侵入しつつ、TOPのエイトロックスが単独で裏を突く形で1人、TOP側から回り込もうと動きます。ちなみにADCのジンクスは赤バフを殴っていて遅れてますね。この位置のジンクスも、あまり良くない配置だと思います。

開戦は本当に一瞬の出来事でした。ピット周りに刺されたコントロールワードは5本、BOT側でAL本陣がそれを少しずつデワードしていた他方で単独のエイトロックスに向けてアッシュのアローと共にT1の5人が突撃。

一瞬ではあるものの5対1となったエイトロックスはすぐ落ちると思いきや、流石にそこはエイトロックス。GAもあり意外と落ちない状態。そこにピット内からセジュアニがブリンクで参戦し、SUPのルルもフラッシュインしてきて場は完全に混戦模様。エイトロックスのGAのせいで時間をかなり稼がれ、シンドラのAOE-CCが一発決まると壊滅しそうな危ない展開になります。

一度倒したエイトロックスがGAで蘇生中、後衛のシンドラの危うさについてはT1プレイヤーなら誰もが理解しています。その中でもいち早く、それを阻止すべく最初から下のブッシュ周りに配置していたTOPのDran選手のレネクトンが身を挺してシンドラに対してブリンクINで飛び込みます。この決死の飛び込みで一番危ないプレイヤーであったShanks選手のシンドラをFaker選手のメルがキル。この集団戦の前半は被デスはT1側はレネクトン、AL側はシンドラとルル、といった形で1-2のキルトレードとなります。

さらに集団戦は続き、双方素晴らしい殴り合いが続きいます

GAで蘇生したローヘルスのエイトロックスが一旦リコールで戻り、ドラゴンピット周りは4対2でT1優位の状況。そこへ本陣で回復したエイトロックスがテレポートで戻ってきます。数的優位はT1側にあるものの主なダメージソースであるアッシュはヘルスが2割程度で戦闘に参加できるか危うい状況。

数的には4対3とはいえ序盤から戦闘に参加していたメルは既にマナが枯渇しており、さらにはこういう局地戦闘では圧倒的に強いエイトロックス、先ずはJGのムンドを落として3対3とします。

ブリンクもダメージもあり、サステイン(回復能力)も持ち合わせたエイトロックスにローヘルスとはいえセジュアニがフロントを張りつつジンクスが殴れる状態のALチーム。

他方、T1側はマナの危ういメルとヘルス3割のアッシュ、そしてSUPのセラフィーンです。少しLOLをやっているプレイヤーならこれがどれほど絶望的な状況か理解できます。

しかしT1はこれをアッシュとセラフィーンのスロウ&スネアを活かし、本当にギリギリまでアグロピンポン(ダメージをお互いに肩代わりしながら体力をできるだけ残せるように立ち回る動き)を行うことで3人全員生存したまま倒し切ります。上の画像、ALのJG、Tarzan選手の表情も納得の、なかなか滅多に見れない集団戦だったと思います。

そしてそのままT1は(一旦リコールを挟むものの)エルダードラゴンとバロンを獲得し、丁寧に詰め将棋を進めてAL本陣を落とします。文字通り、激闘のGAME5でWorldsといえどもこれだけ白熱したゲームはなかなか見ることができない、そんなGAMEだったと思います。

会場は熱狂と感動のるつぼに

ALのファンの方にとっては勿論、悔しいシーンでもあったことと思いますが、それ以上にチームの垣根を超えてLOLファンとして、これだけの試合には早々巡り合えない、得難い体験をさせてもらったという想いも強いです。

冒頭でも書きましたが、是非、動画で実際の試合を見てこの興奮を味わって頂きたいと思います。そして、久々に強いGumayusi選手を見ることができた気もしており、それも嬉しく思います。

そんなわけで次は明日~明後日の準決勝ですね。

昨年と異なりLCKチーム3チーム対LPLチーム1チームというLCK対決に近いベスト4カードとなっていますが、引き続きT1を応援していきたいと思います。