GAME1 LCK同士の勝手知ったる対戦は静かに始まる

奇しくもセミファイナル第一試合はLCK同士の対決。春&夏シーズンを通してお互い手の内は知り尽くしているはずの2チームがWorlds準決勝という大舞台で火花を散らします。

ちなみにLCK夏シーズンのプレイオフの戦績は上図のような感じ(情報引用元:Fandom様より)
Round2でKTがGENを3-2で倒しており、シーズン中連勝記録を更新しておりT1以外ほぼ無敗だったGENにT1以外のチームが土を付けたいうことで場を沸かせていたのを覚えています。プレイオフはRound4でGENが3-0でキッチリと雪辱を果たしてそのまま優勝していましたが、このWorldsの舞台では果たしてどうなるか、注目です。

↑ちなみにGENは圧倒的な優勝候補筆頭でアナリストの勝敗予想もほぼGEN勝利に票が投じられています。しかし、プレイオフで一度はBO5でGENを倒した実績があり、スイスステージを首位通過しているKTもこのWorldsでは一味違う強みを見せる可能性があります。そうした両チームの温度感を見る上でもこのGAME1の出だしはとても重要だったと思っています。

そんなKT対GEN注目のGAME1のバンピックは上図のような感じ。

ブルーサイドのGENが1stピックとしてMIDタリヤを選択し、その後KTがMID、JG、ADCを後出しする形でラストピックケイトリンで締めくくります。バンピックを見ての所感というと、GEN側はタリヤやヴァイ、サイオンなど強力なRをコンボ気味に重ねて有利を作りやすい構成、対してKT側はヨネやニーコ、ケイトリンといった細かい操作と状況判断でスキルマッチアップで優位を取っていくようなチャンプが多めかな?という印象。サイオンのような明確な硬いフロントがKT側にはシビアな距離把握と状況判断が求められるように感じます。

試合は27分頃までKTがドラゴンをリードしつつ拮抗して進みますが4つ目のマウンテンドラゴン出現1分前、視界確保のために川に寄ってきたKT陣営をGENが奇襲する形で起きた集団戦で流れが変わります。

そもそもこのGEN側の構成、タリヤが壁を敷きつつ距離を詰めて敵を分断&接敵+ヴァイがRを絡めて特攻+サイオンもRで距離を詰めやすい+コーキ&ラカンもブリンク持ちで機動力に長け、集合速度が速い、といった瞬間的な数的有利がかなり作りやすい構成のため相手をするKT側は本当に大変です。TOPでそれなりに硬さのあるランブルも黄色丸時点で一瞬で落とされてしまい、その後もサイオンの強固な壁を前面に置いたGENとKTの集団戦はKT側に苦しい展開で長いダメージ交換が続きます。

結果として集団戦は1-4のキルトレードが成立。GENはそのままバロンを安全に獲得し、LCKを見ていたファンの方々は「あ、、、いつものGENの勝ちパターンか、、、」と思われた方も多かったのではないかと思います。

そんな空気を再び一気に換えたのが34分時点のこの戦闘。上図は戦闘後の解散シーンではありますが、MIDのインヒビタータワーをシージするために戦力を寄せてきたGENがKTのジャーヴァンを一瞬で落とし、そのままインヒビタータワーにダイブしたところをKTのSUPニーコがRを使ってタワー前で敵を分断、そこにMIDヨネのRを綺麗に差し込む形で鮮やかにバロンバフを4人分消し去ります。

↑ニーコ&ヨネのRがさく裂する瞬間は上図のような感じ。前述のように、固い訳ではなく、状況判断と位置取りで役割をこなすしかない難しいチャンプであるヨネとニーコがしっかりと仕事をします。また、この後の展開でもケイトリンが射程の長さを活かして、これまたキッチリと良い仕事をしていきます。

強力なアルティメットスキルのウォンボコンボ(味方同士の必殺技の連携、といった意味)で勝ちに来るGENを状況判断とフィジカルで返して行くKTにはLOL歴の長い方ほど胸が熱くなるものがあったのではないでしょうか。KTのMIDであるBdd選手らしさがしっかりと出たGAME1、という印象を強く感じました。

しかし、KTの苦しい流れは変わらず2度目のバロンバフ防衛シーンが訪れます

38分頃、バロン周りの集団戦でヨネ以外全滅する2-4キルトレードを強いられたKTはそのままバロンを失い、2度目のMIDインヒビタータワー防衛戦に至ります。。ゴールド差も6Kとかなり厳しい状況。

しかしここでGEN側がサイオンとタリヤのRを切ってエンゲージするもギリギリMIDインヒビタータワーを落としただけでKT側には大きな人的被害はなく、むしろ全リソースを残したKT側の反転が始まります。

大切なシーンを決めたのはやはりこの人。MIDのBdd選手のヨネがGEN陣営を貫通する形でアルティメットスキルを決め、さらにはジャーヴァンのRなど、ありったけのリソースを叩きこむ形でGENの最も重要なキープレイヤーであるMIDのChovy選手と共に、TOPのKiin選手を落とします。

そこからの展開は非常に早く、キーマン不在のGENを相手にエルダードラゴンを奪取、続いてバロンに繋げる形で数少ないチャンスをしっかりと一度でつかみ取り、見事KTがGAME1を勝ち取ります。

こうして画像を通してゲームを振り返ってみても、KTが勝つのは非常に困難で確率的にも難しい道だったと思います。しかし、フロックでも偶然でもなく、しっかりと耐え抜いて数少ないチャンスにリソースをしっかりと吐き出して、状況判断で大味なウォンボコンボ構成を捲って倒したKTの姿は非常に格好良く見えました。是非GAME2に繋げて欲しいところ。

GAME2 エズリアル&ノーチラスが大暴れ

GENが優勢だったGAMEを落とし、解説者もファンもざわついている中始まったGAME2、ブルーサイドのGENガシンジャオを1stピックするところからバンピックは始まります。返すKTのJGキヤナとMIDライズを見てGENはMIDにガリオを選択。ADCは延命能力が高くレンジの長いエズリアルを選択します。KT側はこれに対してCCとポークに長けたヴァルスを当てる形でバンピックを終えます。

構成を見ての所感としてはエズリアルとアンベッサといったブリンクチャンプをロングトレードでしっかりCCで拘束していくのが難しそうな構成、と感じました。ライズとヴァルスの動き次第なのかとも思いますが、GENのADC、Ruler選手が育ったら嫌だなぁ、という構成。

しかして、GAME2はある意味予想通りの展開。序盤KTもキルがJGのキヤナに集まり奮闘しますがGENの構成的にタンクやファイターが多く、どうしてもキヤナだと刺さり切らない展開。そしてエズリアルには攻撃が届かない。

一方でGEN陣営は豊富なフロントを盾にエズリアルが気持ちよく飛び回ります。ノーチのフックやCCがかすると落ちてしまうKT陣営に対してGEN陣営は非常に落としづらく戦いにくい展開。結果として38分でGAME2を落とす展開となります。

GAME3 ファーストピックアジールからのBdd選手の真骨頂

ゲームカウント1-1に戻ってからの非常に重要なこのGAME3、KTは1tピックにMIDアジールを選択。勝負に出ます。対するGENは現パッチで非常に強いMIDオリアナを選択。飛び込みのできるボール運び役としてJGにパンテオンを併せてピックしてきます。対するKTはブリンク対策&人数有利を創りだすツールとしてポッピーを選択し、BOTにはレーン戦に強いアッシュ&ルルを置きます。

アッシュというチャンプは単純にレーンが強いというのもありますが、「チームが勝っている展開においては非常に強い」という特性を持つチャンプです。逆に、チーム全体がジリ貧のときにADCがアッシュだとダメージ量が足りずガンク回避も難しいことから立ち回りが非常に難しくなるチャンプ。MID&JGが如何にサモリフ全体で主導権を取れるか、が重要なゲームになりそうな予感がします。

そしてBdd選手はそんなチームの期待に完全に応えます。12分半ば、アジールのQ⇒E⇒Rからの完全なインセクでChovy選手のオリアナからファーストブラッド。

さらにその1分後、13分中頃には再びChovy選手のオリアナをヘルス10割から完全なソロキルで再びキルします。今大会で、これだけChovy選手が鮮やかにソロキルされたのを見たのは初めてかもしれません。その位綺麗なキルシーンでした。

こうしてチームのエースが敵チームのエースを挫いた流れは全体に伝播します。またBdd選手以外も本当に5人全員がやるべき仕事を高い水準でこなして完璧なプレイでした。こうしてGAME3は28分後半でキルカウント17-2、ゴールド差15K、オブジェクトもヴォイドグラブ2匹を除くすべてをKTが押さえて勝利となります。

優勝候補筆頭のGENをこれだけ一方的に倒せるチームは世界中でもそうそう無く、また、そういうチームがもしあったとしても、これだけのポテンシャルをしっかりと発揮して結果として実践できるかは難しいところかと思います。この1戦は、KTがそれだけ良いチーム状態にあり、且つ、この準決勝という大舞台で集中できているということの裏付けであるともいえると思います。

※また、これは完全に余談ですが、JGポッピーはJGパンテオンのRに対してRで即座に打ち返してカウンターができるんですね、、、見所が多すぎて画像が多いため、敢えて掲載はしませんでしたが、ドラゴンラッシュシーンでパンテオンが飛んできた時に打ち返していたシーンがなかなか爽快で面白かったです。動画を拝見される方は、良ければそのシーンをちょっと探してみて頂けると楽しいかもしれません(笑)

GAME4 KTリーチで迎える4ゲーム目、GENの巻き返しなるか

GENにとって非常に重要なこのGAME4、ブルーサイドから1stピックとしてJGスカーナーをピックしてGAME4は始まります。個人的には、こうした「絶対に落とせないゲーム」ではJGのCanyon選手が良くニダリーを使ってくるイメージがあったため、バンフェーズでしっかりとニダリーとウーコンをバンしていたのはナイスプレイだったのではないかと思っています。

GENの今期の快進撃には支柱となるプレイヤーが3人、ビッグプレイヤーが居るためと思っており、なおかつ、こうした切羽詰まった試合では構成云々よりも、そうしたキープレイヤーが最も自信のある、操作力と判断力に長けたチャンプを出してくる可能性が高い、様にも思っています。ニダリーはCanyon選手にとって正しくそういう立ち位置のチャンプだったのではないかと。また、Ruler選手のユナラやChovy選手のフェイ&オーロラなど、Worldsで結果を出して来ているチャンプをこの3人に絞ってしっかりとカットしている辺りはKTのバンピックの上手さが光っている気がします。

純粋な構成として見ても、Ruler選手のルシアンに対してブリンクを制御できるカシオペアを選択できてる点も安心感があります。ただ、MID後出しでアニヴィアを選択したChovy選手のアニヴィア対策はオーンのRやカリスタR辺りになるのかな?といった程度で、Chovy選手が大きく育った場合はちょっと対処が難しいかも、と感じました。逆に言えばGENの勝ち筋を大分絞ることができたバンピックということでKTは上手くこなした、と言えるのではないかとも思います。

試合は後半のスケーリングが大きいKTが序盤も優位に進展

KTはオーン、ムンド、カシオペアとレイトスケールが非常に良いチャンプが揃っているのですが、その一方で序盤から強いカリスタが3キル上げるなど、試合の展開としてはGAME3に引き続き、非常に良い形でゲームを進めます。

強固な壁として機能するムンド&オーンをフロントに据え、しっかりオブジェクトを押さえて4ドラ+ゴールド差6Kのリードを築いたKTがエルダードラゴンファイトで試合を決めに行きます。

圧倒的リードで楽に押さえるかと思われたエルダーですがルシアンのRを基点に窮地に陥ります

ブッシュにやや不用意に押し入ったところをカウンターでルシアンRを食らい、追撃も受けたKT陣営は一気にヘルスが低下します。通常のドラゴンであればGIVEして仕切り直しもできるところですが、これはエルダードラゴン。一つ渡すだけでその後のバロンに繋がり一気にENDまで行ってしまう可能性が高く、ここまで優位に進めていたKTが一点して窮地に陥ります。

どうなる、、、?と固唾を飲んで見守りましたがKTがデスすることなくエルダードラゴンを獲得し、そのままChovy選手以外の4選手をキルし、そのまま本陣へなだれ込んでのゲームENDとなりました。

思いのほか低ヘルスから立ち直って勝ち切った要因としては以下のようなものがあったと思います。

ムンド ⇒ Rで超絶回復
カリスタ ⇒ ケミテックリフト特有の超絶回復&バリア付与の果物GET
オーン ⇒ リコールしてからTPバック

そして何よりも、直前にKTが獲得していたケミテックソウルの効力(体力が50%未満になった時にダメージを13%軽減+与えるダメージを13%増加)も大きかったのではないかと思います。カリスタが取れた果物も含めて、これがケミテックリフトでなければ、また違った結果になっていた可能性もありますが、それも含めてLOLの面白さであり、難しい面でもあります。

そしてまた、どのリフトであったとしても、そこまで着実にオブジェクトとゴールド優位を築いてきたKTの着実なプレイが呼び込んだ勝利だとも思います。優勝候補であったLCK1位のGENを倒した栄誉をただただ今は、称えたいと思います。というかBdd選手のプレイスタイルはもともと以前から好きだったので、こうして結果が出たところが見れて非常に嬉しくもあります。

こうなると是非、T1対KTのLCK同士のファイナル、見てみたいところです。明日のT1も頑張ってほしいところ!

KTの選手&コーチ陣の喜びもひとしお。本当におめでとう!

↑SUPのPeter選手。相変わらず良い顔してます(笑)

↑MIDのBdd選手。どのゲームでも素晴らしいパフォーマンスと存在感でした。特にアジールは本当に圧巻でした。

↑舞台袖でコーチと抱き合うシーンも。素敵ですね。

こちらの試合は以下の公式Youtubeチャンネルより視聴可能です