LPL2位選出チームながらスイスステージでは圧倒的な戦績

※情報引用元:Fandom
ALは中国人プレイヤー3名と韓国人プレイヤー2名から成る中国2位のチームです。TOPのFrandreは2021年にEDGでWorlds優勝経験がありJGのTarzanもGENのCanyonと並んでJGの世界トッププレイヤーとして名前が知られていますが、その他のShanks、Hope、Kael辺りはそれほど知名度は高くないかも?と個人的には思っています。
しかし、今大会の戦績は圧倒的でスイスステージは3勝0敗でトップ通過、しかもその3勝の内容がヤヴァいです。

上図の赤丸が示す通り、初戦ではLCK2位のHLEを、2戦目ではLCK1位のGENを、そして3戦目ではT1を倒して勢いに乗っていたCFOを倒して全勝通過しています。CFOはともかくとして、今シーズン、全リージョンの全チームを見渡してもGENとHLEを立て続けに倒せるチームというのはかなり稀有なはず。BO1の短期決戦とはいえ、これだけでもALの調子の良さとポテンシャルの高さが伺えます。
AL対GEN戦を振り返ってみる

バンピックはこんな感じ。GENはカサンテとアリスターでタンク2枚、厚めのフロントを置きつつシンジャオでJGの主導権を序盤からとりつつライズとカイサというメタチャンプをしっかりとキャリーラインにおいて後半のスケールも強めの構成。バランスが良い構成です。
一方ALはフロントはレクサイとポッピーになりますが、カサンテアリスターほど固くはなく、サステインとブリンクを活かしつつフロントを出入りするイメージ。ポッピーはブリンク拒否でアリスターやカイサ、シンジャオカサンテいずれにも飛び込みを制御する役割が高く、タリヤのEと併せてブリンク対策はかなり強いチーム構成です。
とはいえキヤナはかなり柔らかいアサシンチャンプですしフロントの厚みが違うことからGENに対してどのチャンプもブリンクやスペーシングを活用してヒット&アウェイでしっかり戦わないといけない、結構ピーキーな構成。上手いプレイヤーが勝つ、というイメージの構成に見えます。現在世界タイトルを軒並み押さえてきているGENに対して、操作勝負で勝ちに行く構成を取っているALは強気だなぁ、と思いつつバンピックを終えた訳ですが、、、

蓋を開けてみると毎オブジェクト完全なコントロールで抑えていくALの圧倒的な戦略がそこにはありました。上図は先ずウィーバーオールでドラゴン前を分断して局所的に2対1を作り、GENのキャリーを削る&コントロールしつつ

ドラゴンがスマイト一発(ダメージ1200)の範囲に近づく頃にポッピーがフラッシュインからRで吹き飛ばし、その後、壁も消えて全員集合。5対4であり、且つJGのいないGENにはオブジェクトを押さえる術がありません。
形は若干異なりつつも、毎オブジェクトこの形式でしっかり押さえきって最終的にはエルダーも抑えて圧倒的な勝利。

と、文章で書くのは簡単ですが、毎オブジェクトしっかりとセットアップしてスキルを温存しつつ、オブジェクト以外の遭遇戦でも変にリソースを落とすことなくしっかりと立ち回る必要があり、GEN相手に毎回これを完全にセットアップして実践しきるのは相当なフィジカルと胆力が必要かと思います。この1戦を見てもALの強さが伺えます。
※この一戦は公式チャンネルより以下にて視聴可能です。
AL対HLE戦も振り返ってみる

HLE戦はこんな感じ。奇しくもHLE側はGENとほぼ同じ構成、JGがシンジャオからジャーヴァンに変わっただけでほぼ同じ戦略を取っています。LCKスタンダード、なのでしょうか?対するAL側はGEN戦と被っているのはTOPのレクサイのみ。JGはパンテオンで序盤の序盤の主導権強め、ADC&SUPはユナラ&ニーコでこちらもレーン戦の主導権高め、という感じでWinレーン⇒Winゲームの流れを作る構成なのかな?いずれにせよLCKと基本構想が若干異なる構成に見えます。

ゲームが始まると序盤からJGが互いに敵のラプターをカウンターJGで獲り合い、その後ALのMID、Shanksのカシオペアがスリーマンガンクで一気に瀕死になります。

何とか逃げおおせてADCとJGと合流、3対3が始まりますが結果としてこのファイトはAL側が2キル取って2-0トレード。瀕死のカシオペアが逃げ惑うシーンからは考えられない好展開でのスタートを切ります。
更にオブジェクトをしっかり押さえていくALですが3ドラを押さえた時の戦闘ではドラゴンこそ獲得できたものの、その後のファイトでHLEのADCカイサに大量のゴールドを入れてしまう流れになります。

ドラゴン有利こそあるものの、ゴールドは逆転されカイサも大きく育ち、これは決まったか・・・?と思ったのですが、その後のアタカンファイト、ALの強さを象徴するようなファイトが起きます。

開戦シーンはこんな感じ↑
HLE側がアタカンを触っていたところにALが漁夫に来る形でお互いのTOPが共にテレポートするところから5v5がスタートします。

最初にキルを入れたのはHLE側でカイサがALのADCであるユナラとTOPのレクサイを落とします。
しかし、、、

その後、ALの巻き返し。JGのTarzanが駆るパンテオンがフラッシュで敵スキルをかいくぐりながらまずはダブルキルを返します。

その後、追い打ちとばかりにMIDのShanksが操るカシオペアがトリプルキルでACE(敵5人をキルした状態のこと)。試合はこの後もまだまだ続きますが、この時点で集団戦の流れは徐々にALに傾いていきます。
冒頭で知名度が低く感じる、と書いてしまったMIDのShanksとSUPのKaelですが、これがとんでもない。どのオブジェクトファイトにおいてもSUPのKaelがコントロールスキルでの場の流れをAL側に引き寄せるべく動き、KaelとFrandreが作った流れの中でMIDのShanksとJGのTarzanがアウトプレイを見せていく、というスタイルがALの集団戦の勝ちパターンと感じました。
TOPのFrandreはもともと器用に色々な立ち回りがこなせるプレイヤーで、時には守備的&サポート的な役割もこなし、ディスエンゲージなどもしっかりこなせるタイプなので5人それぞれの役割が上手くハマって機能しているように感じます。構成にも依ると思いますが、長い集団戦になるほどALの強みが出やすい気がしました。

終わってみるとキルゲームとなったこの1戦、41分で両軍合わせて42キル。ゴールド差はADC以外どのレーンも2~3Kゴールド差をつけて圧倒する形でALの勝利となりました。
キル差&ゴールド差に見られるほどALが楽な展開だったわけではなく、割と拮抗した試合だったように思いますがMID-JGのラインが非常に強固で集団戦でこのラインを落とし切れないHLEが結局最後はゴールド差で沈んでいった、という流れだったように見えます。MIDのShanks、GEN戦も含め、どのチャンプでもしっかりと役割をこなしていい仕事をするイメージで要注意ですね。
※この一戦は公式チャンネルより以下にて視聴可能です。
そんなわけでT1対AL戦は10月31日の16時から
ALの強さを再認識してしまった感のある分析レポートですが、いわゆるLCKのスタンダード戦略に対してコントロールスキルとフィジカルの高さでオブジェクト戦を制圧してキッチリ有利を作っていく、というスタイルはGENやHLEよりもむしろT1に似ている感があるようにも感じます。
BO1で同じバンピックを行ってきたGENやHLEは詰め将棋的に、メタなオーダーをしっかりと安定してこなしていくタイプであるのに対して、ALやLPLの各チーム、およびT1はSUPのコントロールスキルとMIDーJGラインを武器にオブジェクトファイト(オブジェクトそのものよりもその前後の集団戦)をしっかり制圧して有利を作り戦闘に勝ち切っていくスタイルと言えるのではないかと思っています。T1がWorldsに強く、且つ、中国チームに勝率が高いのはこの辺りが他のLCKチームよりも対LPLチームに対してフィットしていて優位性があるからなのでは?とも。
とはいえ今年のT1は昨年までのWorldsの「強いT1」にはまだ覚醒できていない感があるのも事実です。本番は是非しっかりと覚醒してこの強いALと素晴らしい試合を繰り広げてくれることを期待したいと思います。